中部経済新聞掲載内容

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自動車部品などの入出荷作業に使われる、部品通い箱。箱の側面に貼られる、管理票用透明ケースなどの製造に特化して成長しているのが、カードケース専業メーカーのトミテック(冨田英次社長)だ。
環境対応の時流をとらえて、従来の塩化ビニール素材から環境に優しいPP(ポリプロピレン)素材製品に、いち早く転換。また「UVカット製品」などの投入で、採用先は工業分野のみならず、通信販売などにも広がっている。

カードケース製造

カードケース
同社の創業は、今から20年前の1987年。商社営業のサラリーマンだった冨田社長が独立、緩衝材となるプラスチック真空成形品の企画製造をスタートした。
緩衝材は、自由度の高い設計から、自動車部品や携帯電話向けなどに供給が進んだものの、メーカー数の増加などで競合が激化。その反省から「競合しても納期、コストで対抗できるものを」と着目したのが、小回りが利いて大型設備を必要としないカードケースだった。

UV対策で技術力発揮

90年代前半は、通い箱に使われるカードケースは塩ビ素材が主流だったが、環境汚染への影響が問題となり、次第に環境にやさしい素材への切り替えが、採用メーカー間で進んだ。また、自動添倉庫化による段ボールプラスチックコンテナの増加や、情報量の多いQRコードでの読み取りが進み、いち早くそれに対応した同社製品の伸びを後押しした。
2003年から発売している「UVカット仕様PPシート」は、表裏面ともにUVカットを施して紫外線による変色を防ぐほか、マイナス20度の環境下でも、柔軟性と強度を損なわない耐候性を持つ。通い箱は屋外で野積みされることが多く、「在庫管理が重要となっている今こそ、必要とされる商品」と冨田社長は胸を張る。

環境対策も万全  需要開拓へネット通販も

 カードケースは、デンソーなど自動車部品関連のほか、セシールといった通販にも採用が広がり、7月からは、同社ホームページ(www.tomi-tec.com/)でも販売を開始する。製函業者など、幅広い視野の需要を掘り起こす計画でいる。
部品トレイなどは、自動車部品共有化による新製品減で、競合が一段と激しいのが現状。
「カードケースにより一層特化して、新しい技術を提供したい。真空成形で培った立体面技術を活用し、ポケットのマチの部分を立体化することも検討する」と、得意分野をさらに磨く考えだ。